ご案内
07年ごろにはGMを抜き去り、トヨタ自動車は名実ともに、世界の自動車産業の盟主に浮上する見通しです。
[グロマス・フェーズH]での成長ドライバーには以下の3点が考えられます。
第1に、数量成長です。
製品軸では、レクサス、ハイブリッド、米国でのライト・トラック、アジアでの小型車があり、地域軸では、米国と中国、インド、ロシアといういわゆるBRICsで大きな成長が見込めます。
第2に、バリュー・イノベーション活動(VI活動、pl69参照)と銘打った新たなコスト削減策の効果が2008年以降の新型車に発揮され、大幅なコスト削減を実現する可能性があります。
第3に、技術革新の推進です。
トヨタ自動車は2010年代初頭にハイブリッド車100万台販売体制を目指しています。
この構築に向け、画期的なコスト改革を実現する新ハイブリッド・システム(THs-m)の導入が2008年の「プリウス」モデルチェンジで実現する可能性があります。
さらに、バイオ・フューエルなど代替燃料内燃機関の普及促進、障害物制御のような通信系技術を積極的に推進する方向です。
トヨタ自動車の持つ高い製品品質とコスト競争力、潤沢な資金力は競合他社を圧倒しており、国際競争の中での比較優位は少々のことでは揺るぎそうもありません。
中・長期的に競争を勝ち抜き、高い成長を持続させる公算が高いでしょう。
しかし、常勝のトヨタ自動車にも不安な点がないわけではありません。
敵は中にあると言えます。
社員やグループ会社がぬるま湯につかるようないわゆる大企業病、ファミリー経営的な意思決定の甘さや全体主義的な文化が生じるようでは、停滞の芽が静かに芽生えるリスクがあります。
現在のトヨタ自動車のトップ経営者は豊田家出身ではありませんが、近い将来、豊田家の人間がその座に座ることも十分に予想されます。
その時、トヨタ自動車がバランスよく経営の舵取りができるかどうか、注目が必要でしょう。
トヨタ自動車の従来のビジネスモデルが、乗用車と商用車を廉価に提供する、いわゆる「バリュープレイヤー」であったとすれば、1,000万台を大きく超える規模は、ブランドバリューを維持するうえでも、品質やオペレーションを維持するうえでも「規模のデメリット」を意識するレベルと言えるでしょう。
長期的な視野に立てば、トヨタ自動車はどこかで、業容転換の選択をしなければならないかもしれません。
企業として持続的に成長を続けるとすれば、このような新戦略の選択が必要となるでしょう。
1946年に本田宗一郎氏が設立、二輪車生産・販売の事業をスタートしました。
モータースポーツに積極的に取り組み、勝つことで、短期的に同社の技術とブランドを確立していきます。
1963年には、日本の自動車量産メーカーとしては最後発で四輪車事業に進出。
しかし、後発ながら、米国における「CVCCエンジン」が米国排気ガス規制の中で奇跡的な成長を遂げます。
その後は米国事業を核に日本やアジアなどで順調に成長を続け、現在では生産台数で世界8位の自動車メーカーに位置します。
独自技術と自主独立路線を堅持する在野的な文化が特徴です。
エンジン技術に定評があり、次世代のハイブリッド・エンジン、燃料電池などでは、世界トップのトヨタ自動車と事実上の業界標準をめざすデファクト・ゲームを争っています。
二輪車事業は同社の原点・源流です。
発展途上国の二輪車市場で卓越したブランドカとユーザーを獲得し、その後、経済発展と自動車市場の成長とともに四輪車事業を拡大させるというのが、基本戦略にあるようです。
現在、高い成長を続ける中国やASEAN(東南アジア諸国連合)の自動車市場での成功は、二輪車事業での成功の延長と見ることができるでしょう。
自動車販売台数の各地域でのシェアは、日本12%、米国8%、欧州2%。
その他市場では、7%のシェアを有する中国市場が今後の成長軸に位置します。
二輪車事業では世界最大のメーカーで、世界シェアは50%近くに達していると見られます。
売上構成は、自動車81%、二輪車12%、その他7%。
地域別では、北米56%、日本20%、欧州9%、その他15%となり、米国市場への依存度が高いのが特徴です。
過去数度にわたり、為替変動や商品戦略の失敗など、業績の悪化局面を乗り越えてきました。
難局を乗り越えながら、たくましく成長することが同社の成功体験かもしれません。
ここ数年は、基本的に経営成果は良好と言えますが、為替が円安に振れたことに助けられた部分があり、いくつかの経営判断の誤りが成長の踊り場を生み出している感があります。
日本市場での成長拡大戦略の行き詰まり、米国市場での需給バランスの悪化、品質の悪化などの問題が表面化してきました。
ホンダの北米事業の採算は停滞気味です。
乗用車事業利益の後退、ライト・トラック工場拡充への先行投資負担増、製品品質コストの増大という複合要因がその背景にあります。
「3年で2つのスポーツユーティリティを導入し、北米事業を強化する」。
これは、窮地に置かれた北米事業の再構築を狙い、2003年7月の社長会見で発表された基本戦略の骨子です。
2005年に「Ridgeline」、2006年夏に「RD-X」という2つの新型クロスオーバーSUVが導入され、この戦略は完結しました。
新しいコンセプトのピックアップ「Ridgeline」が狙った効果を生み出せていない状況から見て、戦略が全面的に成功したとは言えませんが、にもかかわらず、足元の北米収益がなんとか底打ちを示せたのは、ガソリン価格の上昇が燃費性能に優れる同社の乗用車事業の息を吹き返らせたことが主因と思われます。
ホンダは再び成長戦略を加速化させています。
2006年5月の年央社長会見において、2010年までの取り組みの概要を発表しました。
戦略の方向性は、@国内オペレーションのマザー機能の強化、A成長市場の基盤整備、B環境性能の強化の3点に置き、2010年までに450万台の自動車販売台数を目指すとしています。
日米に2つの完成車工場を新設、インド・ブラジルの生産能力増強の前倒しも決定しました。
四輪車のC02排出低減を進め、2000年基準比較で、2005年で5%削減、2010年で10%の削減に取り組みます。
業界では非常に画期的な数値目標を掲げました。
商品軸では、09年に「シビック」よりも小型領域で新型ハイブリッド車を市場投人します。
米国規制「Tier2 BIN5」(09年にカリフォリニア州で発効)をクリアできる画期的な技術レベルにある新型ディーゼルエンジンを09年までに上市する方向です。
また、2010年末までに、世界販売目標L800万台の二輪車の大半をフユーエル・インジェクション(FI:電子制御燃料噴射装置)搭載に切り替えていくことを狙います。
自主独立路線を修正する可能性は今後もないでしょう。
そのためにも、以上の戦略は会社の命運をかけた重要な取り組みとなります。
ディーゼルやハイブリッドなど、電子技術が一段と重要度を増してきます。
そのような重要技術を内部蓄積し、さらに、適切なアライアンス関係を社外に構築していけるかどうかが重要な鍵となるでしょう。
会社の文化は、「自由」ですが、技術志向が非常に強いと思われます。
近年、やや官僚化してきている印象があります。
四輪車事業最後発メーカーも今や世界の自動車業界のリーダーの一角に位置しています。
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